救援対策本部ニュース第34号 2011.4.29
仙台ハローワークに失業者の群れ メーデーに反失業の闘いを!
仙台市役所動労千葉を支援する会
現地救援対策本部 田村昌也
「ありえへん数ですわー」・・・
きさくな関西なまりにちょっと面食らって、左肩の腕章を見ると『大阪労働局 応援職員』の文字。
4月25日、雇用保険を申請するために仙台ハローワークに行くと、窓口応対してくれた職員さんは大阪からの応援だった。大阪からは10名が来仙しているそうだ。
「ありえへん数」とは、雇用保険の受給申請者のことだ。仙台ハローワークが所在するのは仙台駅東口近くのビル。エレベーターの扉が開くと、失業者の群れだった。人ごみを押しのけて降り出たものの、受付待ちの行列が約50メートルの廊下を一周して、どこが最後尾なのか分からない。まるで満員電車・・・酸素が薄い。午前9時半に到着したのに、受付番号は640番。申請手続きまで5時間待ちだった。
職員さんによると、毎年4月は雇用保険の申請者で混雑するが、それと比べても5~6倍の多さだという。そのうち、自宅待機などになっている休業者の特例申請が3~4割を占めているらしい。「これからもっと増えるんと違いますか」とのこと。
本当に異様な光景だ。
受給手続きの案内は、15名1グループの説明会方式。10分ほどで説明会が終わり帰ろうとすると、一人の女性が担当職員と問答している。
女性「3月11日以降のお給料が支払われていないんです。休業補償はもらえるんですか?」
職員「会社からの書類では退職したことになっていますが・・・、休業なんですか?」
話がかみ合わないまま、帰ろうとする女性。「ちょっと待って」と声をかけた。
女性の話をよく聞いてみると、3月11日から自宅待機になり、休業期間中の賃金が未払いのまま3月末に解雇されたとのこと。職員は「休業中、失業中、どっちなのか?」という問題意識で対応していたため、話がかみ合わなかったのだ。さらに話を聞いてみると、職場は仙台市の公共施設で、市からの委託をうけて施設内の清掃業務を行っていた。地震で施設が大きな被害を受け、市からの業務契約は打ち切り、同時に解雇されたのだ。
「労働組合はないんですか?」の問いには、「さあ、見かけないけどねえ・・・」。
こうして多くの仲間が解雇や賃金未払いとされながらも、労働組合からは一顧だにされずに、路頭に放り出されているのだ。
連合の「メーデー自粛」と原発擁護は本当に許しがたい。今こそ反失業・反原発メーデーが全労働者に必要だ。原発を進めてきたのも、被災地労働者を切り捨てているのも、どちらも菅政権であり資本家連中だ。敵は完全にひとつなのだ。
ラジオからは「石巻市臨時職員募集のお知らせです。業務内容は瓦礫の撤去作業。時給750円、一日4時間のお仕事です。被災された方が対象で・・・」と流れてくる。思わず「そんなので飯を食えるかよ!」と吐き捨ててしまう。
労働者全体が国鉄1047名と同じ失業問題に直面する中で、私たちが反失業の闘う旗を打ち立てることが決定的だ。
5・1メーデーを被災地で、そして全国で荒々しく闘おう!
海外からの連帯・支援の声
<韓国>
韓国からも数多くの仲間からメール・電話などが寄せられている。キムスンホ サイバー労働大学代表は地震の翌日、ただちにDC会館に電話をよこし組合員の安否を尋ねてきた。そして、動労千葉の声明をただちにサイバー大学のサイトに掲載した。
●ノミョンウ ソウル本部首席副本部長
大変に大きな災害にあってもしっかりと立ち上がって不道徳な政権と政府に幻滅を感じてもう一度民衆の団結とどっしりとした労働者たちがきっぱりと立ち上がり闘争の手綱を握らなければなりません。
津波と地震は自然災害と見ることもできますが、東京電力の原発の放射線露出事故は資本と政権の民営化政策の無知に始まる明白の予定された人災です。これによって消防署職員らを始めとする労働者らの命をかけなければならない胸が詰まる現実があまりにも嘆かわしいです。東京電力社長が6ヶ月前に「どんな災害が来てもそれに対する対策がちゃんとできており心配ない」と発表する内容を見て、どうして資本と権力は国民を欺瞞し愚弄する行いをためらうことなくやってのけるのかと胸が塞がります。
今日、午前の会議をしながらパクヒョソン部長から日本現地の同志たちの現況報告を受けました。何をどのようにどんな方法で支援すべきか考えているところで、良い意見を下されば本部の力量のかぎり実行するよういたします。また会う日までお元気で。
●イジェヨン 前民主労総ソウル本部長
動労千葉の声明書を読みました。(略)声明書の内容は全くだと思います。
今回の大災害は前から政府も知っていながらこのようなとてつもない災害に準備をしてこなかった資本と政府の無能に始まる一つの惨劇だと見られます。加えて今回の大地震によって数多くの民衆が命を失い悲しみに沈んでいるのですから。
今は資本はこの大災害を克服するための手段の方法として労働者の大きな犠牲を強要するだろうと思います。いつもそうしてきたように、当然にも民衆が苦痛を互いに分け合い、構造調整をとおして国家が生き延びなければならないという詭弁を並べると思います。だから動労千葉が出した声明書のように労働者が立たなければなりません。そして団結して資本と無能政府を糾弾して闘争で労働者の暮らしを守っていかなければならないと思います。ここに居る私もまた同志たちと共に闘争に立とうと思います。また何かありましたらお知らせくださることをお願いし、ご健勝を祈ります。
●キムギウォンさん(公務員労組マポ区支部)
DC会館がある千葉市でも工場が燃えるなどの被害があったと言い、動労千葉は大丈夫だろうかと心配していたのですが、ちょうどその時メールが来ました。メールには大丈夫だという言及が無かったのですが、大きな被害を受けなかったようで安心することができるようです。
がんばってください。そして絶対あきらめないことを願います。韓国で皆さんのために祈ります。皆さんを愛しています。
もう一度言います…がんばってください。日本の同志たち。
(「日刊動労千葉」より)